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ベルナルド・レデラー セントラル インパルス クロノメーターでカムバック!

で日本でも知られたAHCI所属の独立時計師、ベルナルド・レデラー(Bernhard Lederer)、昨今は自身の名前を冠した作品よりもサプライヤー業の方をメインにしている印象でしたが、すさまじい作品と共にカムバックした…と言うリリースメールが届いたので抄訳・意訳のブログとして速報レポートします!


主役は、なんと言ってもブレゲが考案し、ジョージ・ダニエルズが改良に取り組んだ、両方向から直接ガンギ車のダイレクトインパルスでテンワを駆動するナチュラル脱進機をさらに進化させたセントラル インパルス エスケープメントです。



この機構については独立した記事にて細かく見ていきたいと思うので今回はサマリーだけ。
ガンギ車の回転のほとんどをテンワの駆動に使えるように動作角度が設計されている
ガンギ歯先が「こじる」のではなく、「押す」ようにインパルスを与え、ロスが少ない
アンクル同様、ローラー安全装置によって振り過ぎを抑制できる
アンクル同様、幾何学的にガンギの歯は1歯ずつしか進まないため安全
それぞれのガンギが独立に動き、反転用の中間車がない
個人的な理解としては「ロビン脱進機を両方向用に鏡像配置して融合させた」と認識しています。
更に、角度設定を最適化することでロビンと違い「空回り」で捨てるエネルギーを安全性を保ったまま最小にするようにしています。
ここら辺は以前、グランドセイコーの「デュアルインパルス脱進機」を推測した時に求めた最適化と同じ方向性です。
理論的な優位性に加え、チタン素材や高精度加工により慣性を抑えより理論通りに動作するようにしています。

更に、輪列内の3番車にトルクを一定化するための10秒ルモントワールを加え、ガンギに伝わるトルクを一定化しています。
このルモントワールはジョン・ハリスンが1756年に発明したものと同様のデザインを腕時計用にアレンジしています。

ルモントワールで必要なコンスタントトルクを与えることと、脱進機自体の効率が良いため、効率よくエネルギーがテンワに伝わり、その効率の良さを表すように脱進音(≒テンワに伝わらず音として消費されるエネルギー)は極めて静かになっています。


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